放射線科(診療放射線技師)

業務内容

当院の放射線部門では、診療放射線技師15名、看護師2名、補助者1名、クラーク2名が在籍し、現在の医療には欠かせない様々な画像検査から放射線治療まで幅広く行っています。患者さんが安心して放射線診断や、治療を受けられる環境を作れるように常に思いやりをもって接し、さらに、患者さんにより効果的な検査法や治療方法を提供するため技術の向上や新技術の導入を積極的に図っています。また女性に安心して検査を受けられるように、マンモグラフィー、乳腺MRIは、女性技師が対応しています。

検査前の準備

放射線科検査を受けるにあたり、検査部位にある人工物を取り外していただきます。

たとえば、頭部検査の場合はネックレス、ピアス、ヘアピン、その他装飾品など、胸部・腹部検査の場合はブラジャー、コルセット、カイロ、磁気マグネット、プラスチック類等、四肢検査の場合は時計、湿布、指輪等を取りはずしていただきます。検査前に検査衣に着替えていただく場合もあります。

造影検査について

造影検査は、X線撮影や透視検査、CT、MRIにおいて通常の検査でははっきりしない部分を造影剤によって鮮明に描出させ、より詳しい情報を得る検査です。具体的な内容については、担当医師より詳しい説明があります。

一般X線撮影

X線

頭部・胸部・腹部撮影や整形外科関連撮影など、全身のX線撮影を受け持っています。当院はCR(Computed Radiography)システムを採用し、画像はデジタル化されており、被ばく低減や画質の安定性を実現しています。

  • X線発生装置
  • ポータブルX線装置
  • CR装置
胸部
KUB
下肢

乳房X線撮影(マンモグラフィー)

乳がんは年々増加しており、検診による早期発見が重要視されています。

マンモグラフィ

マンモグラフィ検査について
マンモグラフィとは、乳がんを診断する方法のひとつで、乳房専用レントゲン装置です。腫瘤(しこり)や微細な石灰化を描出することが可能で、早期の小さなガンも発見できると言われています。撮影時には乳房を圧迫し、薄く平らにして検査を行います。圧迫は痛みを伴う場合もありますが、がんの早期発見にはとても重要です。

最小限の被ばくで負担の少ない検査を実現したマンモグラフィ装置を導入しています。デシタル受像システムを搭載しており、低被ばくで撮影ができます。
当院では、2D(検診で撮影する通常撮影)に加えて、必要があれば乳房のボリュームデータを用いた3D(トモシンセシス)撮影を行っています。検査時間は従来の2Dよりも20秒程度長くなるくらいです。
 

トモシンセシス

3D(トモシンセシス)撮影とは
トモシンセシスとは、Tomography(断層)とSynthesis(統一、合成)という意味の言葉を組み合わせた、断層技術です。ボリュームデータを1mmのスライス厚で得ることができます。

3D(トモシンセシス)の撮影方法
装置のヘッド部分(X線管)だけを-25°~+25°の50°の範囲で動かしながら撮影を行い、3Dのボリュームデータを取得した後に、スライス画像(断層画像)を再構成します。

3D(トモシンセシス)のメリット
日本人女性の乳房には高濃度乳腺が多く、従来の2D画像では乳腺組織の重なりで隠れて見えなかった病変が、スライスすることにより確認できることがあります。
また、腫瘤の辺縁の微細な構造が評価しやすくなり、乳腺の構築の乱れ(スピキュラなど)の確認も容易に行うことができます。
 

また、検診マンモグラフィ撮影認定を受けた女性の診療放射線技師が4名在籍しており、マンモグラフィ検査に携わっています。検査に要する時間は、10分~15分程度になります。なお、マンモグラフィ検査に関して,ご不明な点がございましたらお気軽にご相談ください。
 

X線透視

X線を用いて胃、腸等の消化器や骨、関節等を透視し、その様子をリアルタイムにTVモニターで観察しながら画像を撮影する検査です。

Cアーム型X線TV撮影装置

CT

CT

当院では、高性能の320列CTと80列CTを使用しています。両機種とも高速で広範囲撮影が可能であり、全身の検査に対応しています。機器性能の向上により、放射線被曝を最小限に抑えながら、高品質な三次元データを取得することができます。

また、取得した三次元データからは、分かりやすい断面像や迫力のある3D画像、そして手術のナビゲーションに活用できる画像を提供しており、患者さんの診断や治療における正確性と安全性の向上に貢献しています。

大腸CT術前
冠動脈CT
大血管
大腸CT仮想内視鏡
股関節3D
血管3D
胸部CT

CTガイド下針生検

良性か悪性か不明な体内の病変に対し、確定診断をつけるための検査です。

まずCTを撮影し、病変の存在や位置を確認します。次に穿刺部位を決定し、皮下を局所麻酔します。そしてCTで確認しながら生検針(検査用の針)を病変に向かってすすめ、命中させます。特殊な構造になっている針先より腫瘤の一部を採取してきます。

肺腫瘍に対するCTガイド下針生検

MRI

MRI

MRIは磁気共鳴画像(Magnetic Resonance Imaging)の略で、強力な磁石と電波を使用して体内の状態を画像化する検査です。そのため、MRIはレントゲン撮影やCT検査のような放射線による被ばくはありません。撮影中は大きな音がするため、ヘッドホンや耳栓で耳の保護をしつつ、音楽を聴くことも可能です。

MRIは脳や脊髄、関節、婦人科疾患などの領域に威力を発揮し、当院では乳腺や前立腺、手足の症例も多く取り扱っています。また、2023年度より、最新フルデジタルMRI装置が稼働しており、AI(深層学習)技術の搭載による高画質での血管画像や広範囲撮像、微小構造の描出などが可能となりました。腹部領域でも息止め時間の短縮化や自然呼吸下での検査により、患者さんへの負荷が少なくなっています。

検査環境もより快適となり、患者さんからもトンネル径が大きくなった点や、MRI専用に開発された快適なマットレスに対し高い評価をいただいております。

注意事項
  • MRI検査は、非常に強力な磁場の中に入るため、金属の持ち込みができません。原則として、心臓ペースメーカや人工内耳、神経刺激装置、除細動器などを装着されている方は検査が出来ません。
  • 補聴器や装飾品、カード類(磁気カード、駐車券など)、貼り薬(ニトロダーム、ニコチネル)などを持ち込まれますと、器具が破損したり、著しく画像の乱れが生じます。場合によっては局所的なやけどの恐れがありますので、必ず取り外してください。
  • マスカラなどのメイクアップ用品の顔料の中には、金属を含んだ製品もございますので、ご使用をお控えください。
  • 矯正ワイヤーに関しましては通院中の歯科医師に事前にご確認ください。
頭頸部MRA
頭部MRI
乳腺MRI
腰椎MRI
MRCP(胆管膵管造影)

血管造影(DSA)

DSA

脳血管や心臓、腹部血管などの中にカテーテルと呼ばれる細い管を進め、造影剤を用いて描出する検査です。造影剤を注入しながら撮影した画像から造影剤を注入する前に撮影した画像をコンピューターで差分処理DSA(Digital Subtraction Angiography)することにより血管を鮮明に描出する方法です。

診断のみではなく、血管の狭窄部位を拡げる血管拡張術や腫瘤を栄養する血管を閉塞させる動脈閉塞術なども行っています。当院の装置はフラットパネルディテクタを搭載した2管球式で、画像を2方向から同時に観察できます。フラットパネル方式を採用したことで、従来よりも低被ばくで高画質な画像が得られるようになっています。

また、回転撮影を行うことで、血管の3D画像を検査中迅速かつ簡便に得ることも可能です。

腹部DSA
頭部DSA
頭部回転撮影3D
冠動脈DA

核医学検査(RI検査)

RIとは放射線同位元素(Radio Isotope)の略です。RI検査は身体の機能を観察できることが特徴です。

体内にRIを含む薬(放射性薬剤)を投与すると、投与された薬は目的とする臓器や組織に集まります。その部位から発せられる放射線(ガンマ線)をSPECT装置により検出して画像を得ます。SPECT(スペクト)とは単一光子放射断層撮影(Single Photon Emission Computed Tomography)の略です。

当院では、主にガンの骨への転移などを調べる「骨シンチ」、炎症や悪性腫瘍の部位や程度を調べる「腫瘍シンチ」、甲状腺機能を調べる「甲状腺シンチ」や脳梗塞などを調べる「脳血流シンチ」を行っています。検査については事前に担当医より詳しい説明がありますが、注意事項が多い場合には放射線科医からも説明があります。

RI検査機器
脳血流シンチ
RI
骨シンチ
腫瘍シンチ
甲状腺シンチ

放射線治療

高精度放射線治療装置

放射線治療は、手術とならぶ悪性腫瘍の治療法として行われています。治療には高エネルギーのX線および電子線を用いるため、高精度の品質管理のもと、治療を行っています。

当院では、リニアック装置と3次元治療計画装置により治療を計画・実施していますが、令和3年4月にリニアックを更新し、高精度放射線治療装置が導入され、従来の治療に加え、新たな高精度照射が可能となりました。

また、令和2年3月から前立腺癌に対する小線源治療も開始しております。

放射線治療計画装置
小線源治療システム

骨密度検査

腰椎及び大腿骨の一括ポジショニングと測定、一括自動解析が可能となるOne Scan機能などを備えています。撮影時間は腰椎正面・大腿骨共に約30秒、被ばく線量は0.037mGy(カタログデータより)とのことで、検査時間短縮と患者さんの負担軽減に繋がります。

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